高倉健、最後の手記の締めの言葉

「征く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」

高倉健。
11月10日、83歳で亡くなる4日前に
自身の人生を振り返る手記を完成。
その最後をこの言葉で締めくくっています。
比叡山で二度にわたる千日回峰を成し遂げた
大阿闍梨、酒井雄哉さんから健さんに贈られた言葉です。

酒井大阿闍梨のことをつい2ヶ月前に知るきっかけがありました 。
<アトリエインカーブ>の経営者、今中博之さんと出会いました。
アートに特化した障害者施設であり、いままでの
福祉のイメージを打ち破ろうとする挑戦者です。
酒井大阿闍梨の著作である『一日一生』という本を紹介して
くださいました。そしてそこにもうひとつのエピソードも添えて。

村木厚子さん、厚生省の優秀な女性官僚の大阪地検による
突然逮捕劇はまだ記憶にあたらしいことです。
ふってわいた逮捕勾留。
不当逮捕の不条理な拘束の期間を耐えて、
その後社会復帰された村木さんへのインタビュー記事。
「その期間中一番感銘した本はなんですか?」
「『一日一生』です」
その本は、今中さんが村木さんに拘置所で差し入れしたもの
だったそうです。

ちなみに、酒井大阿闍梨の文章を紹介しておきます。
「千日回峰行は、「不退行」といわれていて、
いったん行に入ったら、途中で辞めることは許されない。
首つり用の死出紐を肩に掛け、自害用の短刀を下げ、
三途の川を渡る時の六文銭などを持参して出発する。
行を続けられなくなったら自害せよということだ。 」