後戸の神 『精霊の王』【大象の聖地巡礼 ーその②】

【大象の聖地巡礼 ーその②】

「後戸の神」というのは、秩序、体制の神々のいわば正統体系の背後に隠れ、
芸能と技術の領域で創造的に動きまわる精霊たちの神々、芸術の神のことをいいます。

いま春日大社では式年遷宮特別参拝で、御本殿特別公開は観光ニュースになっていますが、
本殿背後の<後殿>が140年ぶりに見ることができます。
神秘の磐座が公開されているのです。
はっきりと水晶の結晶体を成したとわかる磐座が漆喰で塗り固められてあります。
(本殿も後殿も撮影禁止ですから、左の写真は水谷神社の床下にある同様の磐座です)

『精霊の王』のなかで中沢新一さんは、4キロほど離れた地点にある
奈良坂の「奈良豆比古神社」は、春日山に鎮座する春日大社にとっての
「後戸の神」としての働きをしていた、と紹介しています。
世界浄化のための技術が猿楽の舞で、
古風な三人立ちの翁舞は、今も毎年10月に演じられています。

右の写真は、談山神社の後戸。天井裏にあたる部屋があります。
ここにご神体として<摩多羅神面>が数百年しまわれていました。
後戸においてあることで神のエネルギーが増殖していきます、と説明する
長岡千尋宮司さん。