『神々の饗宴』 ヤノベケンジ

近ごろ京の鏡の池には
風神雷神をお供にし花の女神の
降り立つといふ噂のあり。

東の森に棲まふ妖怪、これを調伏せんとて、
現し世にまぎれたる魑魅魍魎たちにささやきかけ、
都合十騎の集ふ夕べとなりぬ。

巫女にブリッジなどさせて生贄にせむと企みしが、
女神のチカラ勝りて巫女はにわかに病み臥せり。
あな、おとろしや、おとろしや。

*  上弦の月に気を吐く神々のお毒味しませう妖怪の宴 : 酔象