12・10
湯豆腐や死後に褒められようと思ふ : 藤田湘子
〜〜豚もおだてて鍋につきおとす
12・9
よる深くふと握飯食ひたくなり握めし食ひぬ寒がりにつつ : 斎藤茂吉
〜〜丑三つの冷蔵庫からオリオンへ
12・8
葱二本楕円の思惟はくづれたり : 摂津幸彦
〜〜鍋底にある無限のマーク
12・7
冬に疲れて僕らは記憶を分け合って眠るこたつに蜜柑を据えて : 堂園昌彦
〜〜ゆるゆると海馬は溶けて沼となる
12・6
詫状と千枚漬が届きけり : 透乙美
〜〜宛名ないのに郵便受けに