1・10
胎壁に胎児のわれは唇をつけ母の血吸ひしと渇きて思ふ : 春日井建
〜〜拒食症はじまりは血の疎ましく
1・9
無為にして海鼠一万八千歳 : 正岡子規
〜〜星の時間の浦島太郎
1・8
喉の深さを冬のふかさと思いつつうがいして吐く水かがやけり : 大森静佳
〜〜枯れ枝や人体骨格の逞し
1・7
青丹よし奈良の七草摘み揃へ : 鷹羽狩行
〜〜リゾット仕立てロマネスコ入れ
1・6
耳もちてぶら下げしとき家兎(いへうさぎ)あはれあはれ葱のごときしづかさ : 小池光
〜〜赤い目のニッポン人は飼いやすし