5・31
蝿の王わが食卓の一碗の毒ほのかなる醍醐を狙ふ : 塚本邦雄
〜〜ズッキーニゴルゴンゾーラの黴まみれ
5・30
団塊の世代と呼ばれ心太 : 仁平勝
〜〜引き算なのに多死社会くる
5・29
ふとんの上でおかゆをすするあと何度なおる病にかかれるだろう : 斉藤斎藤
〜〜チューブ式食事で舌は筒状に
5・28
生げその透きとほるなり酢飯の上 : 小澤實
〜〜横泳ぎして父のバイバイ
5・27
赤茄子の腐れてゐたるところより幾程もなき歩みなりけり : 斎藤茂吉
〜〜脳みそがドライトマトになる夏日
5・26
短夜の送別会は焼肉屋 : 矢野玲奈
〜〜シャツのボタンがはじけて失せり