仁左衛門の凄絶な殺し

『盟三五大切』
仁左衛門が凄い。
歌舞伎がおもろい。
むごたらしい殺人シーンが延々と続くが、
歌舞伎の型が残酷を昇華して、息をのむ
美学に変わっていく。
かぶく役者の命。

南北そのものが、エロあり、笑いあり、グロあり。
芝居のおもろい要素が全部つまってる。
無茶苦茶なストーリーで、こんな台本を
若手が新作で書いたとしたら、やぶり捨てられる。
歌舞伎はそこがおもろい。

五大力=手紙の封に<親展>とかくのと同じ使い方。
恋しいあなたに無事にこの手紙がとどくように。
そこから、腕の刺青や三味線の道具などに<五大力>と書いて
愛を誓うまじないになっていたようです。
三五大切=この五大力に、三五郎という男が、いたづらで
自分の名前の三を上につけて、力の横に七を足しただけ、
という説明です。アホみたいですね。それがタイトルですから。
そのええ加減さが歌舞伎のおいしいとこでしょうね。