志の輔、文楽劇場で

入場しても当日の演目がわからへんのです。

はなしはじめると、ああ、最初のネタは新作やとわかる。
フランス大使が田舎町を見学する珍騒動。
官民のちぐはぐな集団心理は、志の輔の得意とするところ。
なんか、映画にもなったネタがあったけど、ネライはその線です。
人間お雛さんは、黒沢映画にもあったけど、映像的におもろい
ですね。

中入りのあと、『抜け雀』。
宿屋の親父のびっくりで、ドッとわらわせる。
ここらあたりは、枝雀やったらどうするやろ、と思うところ。
志の輔のセンスは中マクラで
<マーフィーの法則>をたっぷりと解説して
わらわせるところ。おそらく文楽劇場と
パルコでは、ここの小ネタのとんがり具合が
ちがうんちゃうかなぁ。志の輔さん、大阪でも
出し惜しみせんといてや。
後半、絵師の父親があらわれる展開の呼吸が
ひきしまって、おもわずのりだした。
これは、芸人の厚み。

というわけで、談春にばっかり目が向いて、しばらく
敬遠していた志の輔さんですが、やっぱりいつどんな
席でも、お客様に喜んでもらお、とする姿勢は
気持のええもんです。