還暦の松喬さん、よろしいな

還暦落語会。松喬さんです。
60歳が体力、滑舌、演出の力がピークの時期と
宣言してはるから、充実の実感と自身にあふれてる。

三喬さんはじめお弟子さんがみな実力ためて成長してるん
みても、松喬さんのお人柄のええとこと腹の大きさがわかります。

せやけど、今ひとつもの足らんとこありました。
粋においても滑稽の味わいからしても。

せやけど、文楽劇場での『帯久』は、たんのぉしました。
松喬さんやからこそ、このしんきくさい人情噺をぐいと
ひっぱりこんでくれはったんでしょう。

お人好しと悪徳商人の構図は『ねずみ穴』にも似てる。
人間悪の根源に迫る凄味で会場を凍りつかせた談春の高座を
おもいだした。松喬がこの高座で醸し出す人情味は
全く違うもんやけど、落語というジャンルの底深さと奥行きを
みせてくれたことでは、一期一会のライブといえた。