ことしも、十三公園に木蓮が真っ白に花開く。
樹々に数万羽小鳥たちがいまこの瞬間、飛び立とうとしてるかの
ようで、まだ凛とした冷気が残る空に一層青が濃くなる。
花音痴である。
桃か梅か桜の区別がつかない。
木蓮と辛夷の区別がつかない。
おなじなかまであれば、よしとしよう。
こぶし、といえば、あの名曲
~辛夷咲くあの丘、北国の~
東北をいま辛夷の花がさきはじめる季節。
なぎ倒された樹木を悲しむ人々に、
あした目覚めたときにまっさきに瞳に映るものが
大空にはばたく小鳥のように、希望のシンボルで
あってほしい、と祈るばかりである。
失われたものより、いまからはじまるものを。