浜田英輔の『桜花鍋』を堪能

道明寺は尼寺。
先日、縁あって庵主様と親しく話をさせていただいた。
肌もつややかで慈しみあふるるお顔。
気さくな人柄と深い信仰心がうかがえました。

道明寺といえば、和田萬でも製菓材料として商っていた。、
桜餅につかう粉として、馴染みのもの。
その道明寺をつかって、料理人 浜田英輔は
すばらしい料理を食べさせてくれる。

『桜花鍋』
出汁をはった鍋には、桜のはなびらがちらしてあり、
さくら色の道明寺団子が沈んでいる。
あたたまってきた。具は季節の白魚、蛍烏賊、鯛の子。
団子をとろうとすると、はらりと崩れる。粒粒に散って、花びらにまぎれる。
旬の肴をさんざんにたべたあとの底に、道明寺がひそんでいる仕掛け。
ご存じのとおり、道明寺はもち米である。
はんなりと粥状になった道明寺をうまみたっぷりの出汁で
飲みつくす鍋の趣向。
浜田英輔の料理は、毎回新鮮な驚きをあたえてくれる。
窓の外に爛漫と咲くさくらが酒を飲めとあおってくる。