『ショージとタカオ』。
冤罪で殺人犯とされ、20歳からの30年間を幽閉された
ふたりの男のドキュメント。
内容だけを書けば、おおよその予測はつく。
しかし、この映画はきれいに裏切ってくれて、
さわやかな後口で映画館をでることになる。
『ハープ&ドロシー』。アートコレクターの夫婦ドキュメントで
話題になった。全くテーマがちがう。監督のスタンスもちがう。
観客の意識もちがう。
似ているのは、コンビが<チビとノッポ>。
なんでもないことなんやけど、これが特殊な状況やのおて、
よおある身近な人情味あふるる物語になるんやね。
ドキュメンタリーはテーマを切り口にするので、
冤罪を扱うとどうしても社会正義が前にでてくる。
撮るもんも観るもんも<正しい>話をする。
いい悪いではなく、展開が退屈になる。
2作品ともに、ふつうの生活者の前向きな生き方を
たんたんとカットを重ねていくので、世界に涼しい風が
ふきぬけていく。
それぞれのコンビの実人格に敬意。
また2作品の女性監督にも拍手。
ケッタイな映画をひろってくる<ナナゲイ>が
十三のネエチャンの街のどまんなかにあるのも
かっこええ。まさに<まちの文化論>やねぇ。