深夜テレビの萩原健一に

中村美律子さんの25周年記念公演。
楽屋見舞いをもって新歌舞伎座へ。
和田萬の胡麻菓子でご縁がありまして。

演歌歌手の舞台も伝統芸能の能舞台も
どちらも大衆性が必要条件です。
能の前半、長い長い退屈な謡の部分は
歌手のきかせどころで、現在の歌手芝居には
かならずつきものの<ヒットパレード>に相当するもの。

アイドル俳優がほとんど歌手出身であるのは、
世阿弥の時代から変わってないし、その段階をふんで
一流の舞台人に成長していくもんです。

郷ひろみは世阿弥である。
萩原健一は世之助である。

郷ひろみほど<時分の花>を意識して
持続しつづけている芸能者はおれへん。
世阿弥は幼少から義満の寵愛をうけ、
晩年には義教から佐渡島に流罪の屈辱を与えられる。
郷ひろみもこの先に、まばゆいはづかしめを受けてこそ、
歴史に名を残す栄光の舞台人となれるんやけど。

ショーケンはその反社会性において群をぬいた役者。
ひかれひきあった女性がみな魅力ふんぷん。
女だけやない、男をたらしこむ才能こそ本質的に凄い。
黒澤監督はじめ超能力を発揮する怪物監督らを次々に
デレデレにさせてる。そのようすは彼の『監督・俳優論』に
語られている。

・ゆっくり齢とろうぜ 泥酔一歩前深夜テレビのショーケンに

30年も前にこんな短歌をつくったことをおもいだした。
全く、いまもおんなじおもい。