短歌に意味なんていらない

「塚本短歌にとって『意味』は二義的なもの」。

日本詩歌のターニングポイントとなった三つの評論
①紀貫之『古今和歌集』
②正岡子規『歌よみに与うる書』
③塚本邦雄『定型幻視論』

塚本がなぜ革命家なのか。
この塚本の分析を明快にしたのが
島内景二『塚本邦雄ーコレクション日本歌人選』である。

絵画が、<主題抜き>でただ絵画として見ることができる、という
<絵画の自立性>がモダンアートのおおきな転換であった。
塚本も短歌には意味など二の次のことだと宣言した。
短歌の自立性の旗をかかげて革命に挑戦しつづけた
負の魔王、塚本の戦歴を苛烈に証明していく。
ぶっとい文脈を幾本も提示して、
ダイナミックに解き明かす評論は、豪快である。
同時に、動脈から鮮血をふきだして倒れたボクサーを
巧みなAEDの操作で心臓蘇生をこころみるドクター
のようにもみえてくる。

用意されたキーワードは50.
10、また10.1日に10で一旦本を閉じないことのは
刺激がつよすぎる。
あふれる血の匂いはゆっくりと味わいたい。

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【タイム食句】
千枚漬糸引く光源氏たち : 中村尭子