白魚の一夜干しでお酒をいただく

阿波座のとある割烹で、
白魚の一夜干しがでてきたのには、
おどろきました。
ご主人のお手製。
あの小さな目ん玉をつないでいくいくんですから。
あの美しく透ける生き物を串刺しにするんですから。
ギュッと、味が凝縮しています。春の風の味がします。
もちろん、お酒がうまい、はかない生贄でしょうか。

たまたま『八百善』さんの料理のことをかいてある本を
よんでいました。
お江戸では、<白魚の目刺>というメニューは大人気で
普通にあったようです。
隅田川では、よく獲れたとあります。

関西でいう<踊り食い>は、白魚ではありません。
<しろうお>という品種のちがうものです。
まちがいやすいので、<すぐ踊るのはしろうと>と
おぼえるようにしています。

・明けぼのや白魚白きこと一寸 : 芭蕉

・白魚のさかなたること略しけり   :  中原道夫

・白魚を食べて明るき声を出す   :鍵和田釉子

おいしいものには、傑作俳句がうまれます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【タイム食句】
北の新地はもと蜆川春の雨
: 木村澄夫