榎忠の聖なる天地創造

足立元は『前衛の遺伝子』で
1920年ごろの象徴表現として
<髑髏>と<爆弾>をあげています。

このモチーフは21世紀も有効です。
爆破する行為の根本はアナーキズムです。
ここでは政治的な解釈は必要ありません。
万里の長城を爆破した蔡国强。
すでに若くして世界的に評価が高い。
日本にも榎忠がいます。
大砲をつくり、実際に爆破させます。
美術館を否定します。
現在、現時点にいたるまで、時代と真っ向から
向き合い、視線をそらさない。
いつも先の先にいる。
半狩りも女装のパフォーマンスも
時代の読みも美術の文脈も
先駆けているだけで、決して異端ではない。
しかし、日本の評価は距離を縮めてこない。
そこには、榎忠のニヒリズム、アナーキズムが
唸り、吠えているからでしょうか。

『RPT-1200』
廃品を旋盤で磨き上げた部品で、
聖なる未来都市を創造した。
地底を堀り、削り、壊してきたベクトルが、
光をつみあげて、増殖する宇宙へむかいはじめた。

鉄は生き物、地球から生まれたもの。
「鉄を磨いたりしてると、そこから生命が生まれるような、
エロチックな感じが見えてきて、なんともいえない
世界にはいり込んでいってしまう」。
インタビューの答えがほほえましい。
そうなんや。エロスとタナトス。

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【タイム食首】
サランラップにくるみてしまふ余したる断片ばかりくるみてしまふ
: 田中槐