陶器もガラスもこわれて、ほっと

ついうっかり。
われるものです、
陶器やガラスってやつは。

骨董の価値は、まず年月をこえて
のこってきた、という時間の値打ちです。
作り手がだれであるかの知識、情報よりも
自然、人為のいろんな障害をこえてきた
運命の強さをそのものが内蔵している不思議力です。

ものがこわれたとき、ほっとします。
うまく説明できなんですが
ああ、やっと自分のものになった、という感覚でしょうか。
いやな予感はあたる、のマーフィの法則やありませんが、
高名な作家の器、オブジェもこわれます。
もちろん、骨董であればその時点で命をうばってしまうことに、
また現役作家の作品であれば、作家に対して失礼でもうしわけない。

金継ぎや漆修理。いやいや、それではおもろない。
おもいきって、原色の赤や黄を走らせて。
そんなたのしみがでてくるんです。

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【タイム食首】
胎内に浮きたるやうなる朧月 蒼き器に茶漬けを啜る
: 佐田公子