中川幸夫。
いけばな作家。
狂気を孕んだ前衛芸術家の名に
ふさわしい存在でした。
舞踏家、大野一雄のために
<空中散華>。何トンという
花をヘリコプターから散らした。
ガラスの器にカーネーションの花びらを
ぎゅうぎゅうに押し込んで押しこんで、そこから華の真っ赤な流血をおびきだした。
花のエロスを花の死、タナトスにかえて、幻の美をみせてくれた。
『魔の山』という作品がある、そのオマージュとして、花びらの死骸を
かき集めてきた。ガラスの器をうめつくし、虚無の空へ空へとタナトスを
ふらせた。
中川幸夫はガラス制作にも凝った時期があった。
器のタイトルは『うぶすな』。
女性のエロスそのもののフォルムである。
自分はここからうまれたんだよ、というユーモアでしょう。
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【タイム食句】
つちふるやカレーライスに陸と海 : 曽根主水