もり蕎麦に石。入れ歯爺いに。

貝は砂をかむのでこわい。
それはわかるけど、きょうは
もり蕎麦で石をかんだ。
瞬間、前歯三本がぐらついた。

しんじられない。
が現実である。
製粉工程の一番最初は玄蕎麦を石抜き機にかける。
この蕎麦屋の原料の製粉所のことは知っている。
知っていなくとも、胡麻の焙煎工程も同じなので、
石抜きの工程はおおよそ機械も全く同じタイプ。
最終仕上がった蕎麦粉を業務用大袋30kg入りに
するときに、作業員の服に静電気で付着していた
一粒の石が混入したものと推測される。

蕎麦粉を捏ねばちにいれるときに、とおしにかけていないことが
問題です。かけていれば、石がのこるはずがない。

数年前から下の歯茎がアウトで前歯三本がぐらぐら。
歯医者がすばらしい名人、接着剤で固定してくれて
だましだましできょうまでいきてきました。
それが、蕎麦の石でぐらぐらに。ああ、なんという悲劇。
かばうようにして話をするので、まるで入れ歯のじいさんが
歯を入れわすれたような口調になっている。
周りがきいてくれたらいいのに、
かわいそうに、このじいさん、という憐れみで
みつめかえすので、もう弁解もでけへんやんか。

この蕎麦屋ぐらい潰したんのんわけないでぇ。
こころのなかでおらびつつ、
きょうはこれくらいにしといたろか。

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【タイム食句】
コノハナサクヤ三合の米を研ぐ : 中居由美