ボルタンスキー。ボルタンスキー。

メメント・モリ。
mement mori
死をおもえ。

ラテン語の宗教色のつよいフレーズは
なかなかすっきりと、はいってきません。

かって藤原新也の本のタイトルにもありました。
「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」
死体を食う犬の写真につけられたコメントの
インパクトが強烈で、メメントモリはそのまま
消化不良の異物感としてのこっています。

ボルタンスキー。
クリスチャン・ボルタンスキー。
彼の作品をみると、<メメント・モリ>が
すうっと身体の中にはいってきました。

巨大な輪転機を無数の赤ん坊のフィルムがまわりつづけ、
自動制御でストップ。一人の命が選択される。

ベネチアビエンナーレの作品です。
今年の越後妻有でも20トンの古着を積みあげています。
豊島では、個人の心臓音が膨大な記録として保存されています。
祭壇。学校地下の整理箱。
どの作品からも、なじみのないはずの
<メメントモリ>が呪文のように
前頭葉の後ろをながれていきます。