白内障手術は、ミラクルアート体験

光の粒子が変幻自在にかたちをかえて降ってくる。

赤、青の原色が空からたらしこみで顔面にせまってくる。

羊歯類、菌類が巨大化してふにゅふにゅとおどりだす。

幻想ではなく、目ン玉をおおきくあけて、その光の戯れを
凝視し、観察していました。

絵画で、具象か抽象か、といったテーマはたいしたことではありません。
俳句や短歌で、写実か幻想か、という議論はあまり実りがないでしょう。

光や細胞の複雑で奇ッ怪な動きを
目の前の動きでとらえられる時代になっているのですね。

白内障の手術をしました。
痲酔は注射ではありません。目薬をさすだけ。
たちまちに、草間弥生や元永定正、松谷武判の世界が
眼前にはじまります。
不思議な体験です。

手術は30分。すぐに歩いて自宅にもどります。
翌日からは、眼帯もしません。
レンズが1枚、目ン玉の裏っ側にはいったそうです。
10年後には、眼球とりかえ、一個一万円の時代に。
サイボーグや倫理なんて論争することさえ
もうなくなっているような気がします。