短歌の連作で興味深い実験がありました。
斉藤斎藤さんの『予言、〈私〉』。
連作10首のなかに、まるまる岡井隆さんの歌がまじっているのです。
短歌では、<本歌取り>といって万葉、古今から現在まで、
すでに発表されたほかの作品からフレーズを
ひっぱってくる手法は昔からあります。
しかし、1首そのまんま、は前例があるのでしょうか。
作者は自分の名前に二重取り消し線をつけています。
ちゃんと気づけよ、のサインですね。
デュシャンが男性用小便器をそのまんま『泉』というタイトルで
美術展に発表しました。
レディメイドのコンセプトで美術は革命がおきました。
アンディ・ウォーホルがスーパーに並んでいる
なんの変哲もないキャンベル・スープの缶を
ポップアートにしたてあげました。
短歌の連作という構成があるならば、
レディメイドの概念で、全くあたらしい文学への
挑戦があって当然でしょう。
ほかのジャンルからみれば古色蒼然たる短歌界に
どんな反応がでてくるでしょうか。