『てっさい堂』貴道裕子コレクション

ぽち袋。
ぽっち。ひとりぼっち。これっぽっち。

お年玉をいれる袋、
ちょっと板さんや旅館の仲居さんにわたす
祝儀袋のことですね。
チップと微妙にニュアンスがちがいます。
チップは労働対価。サービス料5%もそれにあたります。

ぽちはご祝儀です。ありがとう、よろしくね、
の感謝とねぎらいと期待の感情で、それを金銭にしてわたすことが
申し訳ないという恥じらいの気持。
さらには現金を受取る相手へのおもいやりも含んでいる、という
すごい奥ゆかしい日本人の文化だといえます。
割烹で、板さんにちょっとご祝儀なんて、粋やけど
それがかっこよくできるには、ユウキというかシュギョウがいりますよね。

『てっさい堂』の貴道祐子さんのコレクション
~豆皿、帯留、ぽち袋~
京都の<えき>美術館でやっています。
手のひらにのる骨董、
という小さなものに暮らしの華やぎと智慧がちりばめられた
すばらしいコレクションの展示です。

携帯電話は世界中でつかわれていますが、
ストラップをつけているのは日本人だけでは?
胡麻栽培の出張でトルコやパラグアイなどの国に出張した時に、
<ごまやんストラップ>をプレゼントしても、彼らは全く興味を示しませんでした。
帯留や根付の文化が日本には脈々とながれてるんですね。

芸術でございます、と偉そうな顔をせず、
豆皿、ぽち袋、帯留にみる日本人の工芸のレベルの高さには
虚をつかれた想いがしました。
それは日本のほこらしい心意気ですよね。