<蛇踊り>に憑くもの

天神祭の<蛇踊り>の若者には
何者かが憑依している。
<龍踊り>が正式の名称ですが、
蛇が変身して龍に。
なりそこなったものはまむし、
さもなくばコブラに。

天満宮は菅原道真の怨霊を鎮める目的。
当時の学問の神は、より正確には、文学、
もっと焦点をしぼって、詩の神様といえます。

呪術の要素をはらむ死に様を
日本人は受け入れてきました。
倭建命の悶死、後鳥羽院の憤死、
暗殺の源実朝、虐殺の小林多喜二。
世阿弥。
利休。
日本の美学を決定づけたこの二人の芸術家
の最後はあまりに悲惨、凄絶。
放浪ロマンの甘ったるい美学の色合いより、
魔王に憑かれた、どす黒い横死のイメージが濃ゆい。
三島由紀夫、中上健次、向田邦子は
それぞれ自殺、病死、事故死ですが、
怨霊かかえた悶絶死のニュアンスが匂ってきます。