胡麻料理を<利休仕立て>といいます

北野勝彦の白備前は一個の徳利にも
窯変辞典のテキストになるくらい、
さまざまな表情があらわれて、見事。

胡麻、牡丹餅、焦げ。
専門用語だけならべると、食いもんの話みたい。
牡丹餅は焼くときに円く土を重ねておくと
その部分だけ炎があたらないので、朱い円が
デザインとしてうきあがる手法。
胡麻は、灰がふりかかる状態でとびとびに
黒胡麻をふりかけたような模様のこと。

『世沙弥』で好評いただいてる料理に
<脱皮蟹の泡吹き利休>があります。
胡麻をつかう料理は<利休焼き><利休和え><利休あん>
といった風に利休さんの名前でレシピ紹介されます。
利休さんが茶懐石でつかわれたからですよ、と説明する
料理研究家のセンセが時々いらっしゃいます。

利休さんの時代に胡麻はありましたが、江戸時代にはいるまで
まだそれほど料理食材につかわれるほど一般に流通はしていません。
胡麻、といえば抹茶茶碗の代表である備前や信楽のほめことば、
<みごとに胡麻の景色がでてますなぁ>。
お茶といえば、利休。
そんなところから、利休よりずっとずっと後の時代になってから、
胡麻と利休をくっつけたようですね。
胡麻屋としては、利休愛用の胡麻といいたいところですが。

さあ、きょうの胡麻料理は北野勝彦の白備前の皿に
盛り付けしましょう。胡麻窯変が冴えわたります。