祇園祭の桟敷には、20歳の義満と15歳の世阿弥

増田豊春先生の能面展。
といっても、これは生徒さんの作品展。
といっても、すべて完成度の高い能面で
30面ほどがずらりと並ぶと壮観。
1枚の木に眠っていた1人の女の微笑みが
ほりおこされるようで、官能きわまりない。
ほとんど恐怖に似たためいきがでてしまう。

堂本正樹『世阿弥の能』
能面に刺激されて、10年ぶりに読み返しました。
何層にもあいまいな幕をかさねてきた能の見かたが
いっきにあかるくなりました。
ええ、こんなわかりやすかったん。

<幽玄>は、まず童形、ただ美しく柔和な様子、と単純明快。
<流離の子の雛にて美しからん>も、貴種流離の浪漫ほじゃらほじゃら
もちださんと、単に野鳥のふくろうのことを流離というんです。

7月16日、京都では、ちょうどきょうが祇園祭。
600年前、その桟敷から祭りの鉾を見物していたのが
わずか20歳の将軍義満。横にはべらせているのは、
5歳下の絶世の美少年、藤若。
世阿弥波乱の運命のスタートである。
2011年のきょうも、炎帝が幼い鬼夜叉をみつけだす
出会いがそこここにあるにちがいない。