野口英世の詩的な激情人生を想う

福岡伸一さんが今度はフェルメールがテーマ。
みずみずしい光がさしこんでくるような福岡さんの
散文詩ともいえる文章から、フェルメールの名前が
でると、まさにぴたりともいえる。
しかし、ちょっと物足りない気もする。
どの著作でも、福岡さんならではのオリジナルの
きわめてユニークな発見がある。
だから、お好みの画家も正統派でありながら
ヒネリのある作家かと思い込みがあった。

『フェルメール 光の王国』
今回はフェルメール専門家が
検討すらしていないデッサンを
フェルメールではないかと推測をすすめる
仕立てにはなっている。

ほかの著作でもふれていたが、
今回も野口英世にふれている。
こどものころの日本偉人伝といえば
野口英世。
その野口の昇り竜のごとき数々の「発見」の
ほとんどは時の試練に耐えるものではなかった。
「野口は成功への焦燥の果てに見え得ないものを
見てしまったのである」。
20世紀初頭、コネもないアメリカにわたり、
野心に燃え、ノーベル賞候補に3度もなり、
アフリカ、ガーナで黄熱病の研究中に死ぬという
男がますます魅力的になってくる。
ランボー以上に詩的な人生。