失われた神話をもとめて

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人間の生活や社会や文化は、源流に遡って行けば行くほど、
姿形が似通って来る。この、いわゆる人間の原風景のことを、
我々は「神話」と呼ぶのだろう。

森村泰昌がトルコ映画『蜂蜜』を観ての批評の書き出しです。
(森村泰昌×平野啓一郎 : クロスボーダー レビュー)

神話、伝説、昔話、世間話・・・
それらはロマンあふれる物語でありながら、
すこしづつちがっています。
柳田国男の説を小松和彦がおもしろく紹介しています。
~伝説は植物であり、昔話は小鳥。
伝説は古い国土に自然に生い茂った松や杉のようなもので、
皆それぞれに枝ぶりが異なっているから面白い。
昔話は、どこにでも<むかしむかしあるところに・・・>という
同じすがたで飛びあるいている。
昔話に形式があるが、伝説は形もなく簡素で前後もなく、
ただ内容だけが伝わっている。

さらに小松は分析して、
~伝説は植物のように、特定の地域で、特定の場所や人物に
からめて語られている。したがって、その話をそのまま別の
地域に容易には移植できない。そのことが伝説の特徴なのである。
(小松和彦 : 「伝説」はなぜ生まれたか)

・黄泉の王(きみ)・女王(めぎみ)比ひて治めます
髭根喰いあふフロウラ世界 : 高橋睦郎