落語定席『繁昌亭』の横に和田萬の旗艦店を開いて9ヶ 月。三枝さんたちの努力ですっかり大阪新名所に成長。 天神さんでお参りもふえてきた天満宮のねき、これから は周辺も落語横丁として大阪情緒をつくっていきまっせ。  
『季語集』 坪内稔典
「子どもは季節に鈍感である。これは自然な現象で、存 在そのものが自然に近いのだ。中年になって心身が衰え かけたとき、自分の支えとして季節を意識する」。ほん まこの頃風の色が見えるようになったんは年寄りの証拠。
『サッド ヴァケイション』 監督・青山真治
冒頭の密航船シーン、心臓をざらつかせる不安感で意識 の層がズブズブに。映像こその皮膚感覚。カルスト台地 での浅野忠信とオダギリジョーの二人シーン。『ブエノ スアイレス』の予感が。題がなぜいつも日本語やないの?  
『空心』 こんな中華が近所にほしい
中華が食べたい。そんな夕暮、気軽に、とゆうてもちょ っと凝ったもんも欲しい。わがまま欲求を満たしてくれ るのにドンピシャ。四川の辛さをいかして旬の秋刀魚を 生で食べる一皿目から作り手の覇気が盛り込まれている。
『地図で読む世界情勢』で読み解く社会の行方
金胡麻栽培のトルコ出張を前に今話題の地図本を読む。 トルコは民族問題をかかえテロも頻繁にある。この要因 が<クルド人・国のない民族>の章で一発でわかる。ま たトルコ巨大ダムの水戦争という問題をはじめて知った。
青木良太の白磁
薄くてもろくて欠けそうで、はかなさのあやういバラン ス。白い食器はいつでも使うものに必要以上の緊張を強 いる。まだ若い作家。名前と作り上げた器の質感が<爽 やか>モードで、つきすぎ。”若気の至り”がほしいよ。  
堤幸生の出前マジック
30cmの至近距離でトランプや超魔術を見せてもおた けどほんまわからへん。タネを教えてもろてもまだ不思 議。マジシャン堤はどこでも、たとえ相手が一人でも来 てくれる。手品はみせて客が驚く反応をみて楽しむ趣味。
<踊るうどん> の<踊る>由来はわかりましぇん
秘やかな噂を漏れ聞くこと幾度。京阪沿線というマーナ ーのこれまた滝井などきいたことのない駅前。ごく普通 のうどん屋さんのたたずまいに好感。<踊る>の意味不 明。讃岐系ごん太のド厚かましさが無く自然な品格あり。
笑福亭鶴瓶「死神」:紅落語名人会
二日連続。いま鶴瓶を聴けへんかったら大阪人として後 悔する。いつもの艶っぽさがない。しみじみ始まったの は「死神」。そうきたか。蝋燭の火をついで生き延びる 瞬間の表情は歌舞伎の<見得>。鶴瓶古典は新たな創作。
笑福亭鶴瓶「青木先生」:繁昌亭一周年記念
創作だがすでに古典となる完成度。青春グラフィティと して骨格が太い。トークネタを落語力で語る意志が漲る。 鶴瓶の悪ガキ時代の教師との触れあい。爆笑エピソード の背景に嶋岡晨の詩<かくれんぼ>の授業も青春やねぇ。