雅な和菓子、葛切は上方文化

森野さんの<みゆき本葛>がキッチンの整理を
したらでてきた。
ひさしぶりに葛切をつくってみよう。
バットにいれて、お湯にうかす。
白くなったら、すぐ沈める。
透明になったら、氷水にうつして
バットからぺろぺろ~~ん。

黒蜜に砂糖。鴻商店の生砂糖も
台所の隅にあるので、こんなときにつかう。
なんかの本にコーヒーをちょっと垂らすとあったので
ためしてみる。

『季楽』という小冊子がある日送られてきた。
日本文化をいろんなベクトルから紹介した
趣味人向けの編集で、デザインのセンスも
よくてひどく感心した。
どこがだしているのか、わからない。
奥付けに<鍵善良房>と小さくあった。
祇園の葛切のお店である。
企業の宣伝雑誌はよくあるが、ここまで
宣伝を一切排除した編集姿勢はない。
さすが京都老舗の心意気。

葛切という短編が久世光彦にあったんやないか。
『飲食男女』をさがしたけどなかった。
お汁粉や煮凝りに葛切のイメージが混濁してたんやろ。
久保田万太郎やったら、葛切の句が。
さがしたけど、無い。
日野草城に「ところてん煙のごとく沈みをり」があるぐらい。

葛は吉野葛。
関東の食文化には、葛湯、葛饅頭どまり。
雅な葛切はそうそう食べられてはいない、ということが
わかりました。