ドゥマゴ文学賞の恩田侑布子『余白の祭』。 俳句評論ですが、雪舟の「秋冬山水図」を莊子をひいての読み解きなど 美術の手さばきが新鮮。 アナホリッシュ国文学 第5号は俳句特集。 ここにも恩田の評論が掲載されています。 芭蕉を
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『知の武装』 手嶋龍一・佐藤優
21世紀のいまの安全保障の主戦場は、 サイバースペースとアウタースペース。 ネット空間と宇宙空間、この2つになってきています。 CIA元職員、エドワード・スノーデンは サイバースペースで目覚めた21世紀アナーキスト であ
『青春と変態』会田誠
スカトロ系の趣味小説かというととんでもない、 極めて王道をいく真っ当な青春文学。 書いたのが1993年。 すでに、「あぜみち」「犬」「・・キングギドラ」の発表後。 森美術館で「犬」に対して、 <ポルノ被害と性暴力を考える
失われた神話をもとめて
~~ 人間の生活や社会や文化は、源流に遡って行けば行くほど、 姿形が似通って来る。この、いわゆる人間の原風景のことを、 我々は「神話」と呼ぶのだろう。 森村泰昌がトルコ映画『蜂蜜』を観ての批評の書き出しです。 (森村泰昌
ようやく内田百閒に
~~ 用事がなければどこへも行ってはいけない と云うわけはない。なんにも用事がないけれど、 汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。~~ 内田百閒。 阿房列車の有名な書き出しです。 永井荷風や、ましてや薄田泣菫を読みたくな
白描画「枕草子絵詞」をみたい
橋本治、デカッ!! ネット写真で小林秀雄賞授賞式のシーン。 ことしの受章者、山口晃の方がイメージでは、 デカチビ逆転なんだけど。 「ヘンな日本美術史」は日本美術応援団として、 時代の空気にもはまっています。 白描画「枕草
湯殿山から『奥の細道』へ
芭蕉の『奥の細道』。 道の奥であるみちのく東北地方を 漫然と歩きつづけたわけではないでしょう。 奥伊勢とよばれた出羽三山の別格にあたる 総奥の院ともいうべき湯殿山参詣して3句。 ・涼しさやほの三か月の羽黒山 ・雲の峰幾つ
『ハウス・オブ・ヤマナカ』の時代の情熱
『ハウス・オブ・ヤマナカ』 ~東洋の至宝を欧米に売った美術商~ この本を急に読みたくなったのは ふたつのきっかけがあります。 9月あたまに、チャンパ王朝、フエ王朝への美術探訪。 あらためてアジア美術のすごさに圧倒されたこ
『真夜中の弥次さん喜多さん』と『新東海道五十三次』
しりあがり寿『真夜中の弥次さん喜多さん』と 井上ひさし『新東海道五十三次』 この2冊を同時に読みすすめました。 十返舎一九の『東海道中膝栗毛』。 1802年から1822年までの21年にわたる長期間に 43冊のシリーズ、大
山口の限界集落、金峰で5人殺害事件
山口の限界集落、金峰で5人殺害事件が起きました。 すぐに連想したのは、<八つ墓村>よりは、 <河内10人斬り>。 河内の金剛山での大量殺人事件をモデルに 町田康が『告白』をかいています。 町田の文体が河内の濃密で獣臭い空