・触らせてもらう津軽の木の林檎 : 宇多喜代子 さわらせてもらう。 このフレーズが伸ばした指の先から 一直線にこころにみずみずしくはいってくる。 大地、風土、その土地のみのりをもたらした 土地のヌシである精霊への畏れでし
カテゴリー: 本 周辺
入江さん、虹っぽい『秘密のロンドン』
『秘密のロンドン』。 アノ入江敦彦さんのガイドですから、もお。 レインボー派でなくとも。 バンクシーのネタもたっぷり、アートな倫敦。 観たい映画のコーナーで フランシス・ベーコンの実録もの『愛の悪魔』 BBC共同製作によ
<聖地>にどっぷり、悪所もどっぷり
『日本の聖地ベスト100』 植島啓司 著。 新書のちょっと肩をぬいたエッセイ風。 ええんか、とおもてるうちに、この軽さがいけてくる。 ほんなら一回行ってみよかな。 最近よんだなかでは、 須田群司 『日本の聖なる石を訪ねて
わっけわからん『芸術の陰謀』
大阪駅でばったり会ったふたり。 「どこいくの?」 「京都」 「どうしてそんな嘘つくの?」 「???」 京都とこたえておけば、 <はは~ん、ほんとは神戸にいくのにちがいない> 、とこっちが推測するだろうとみこして、 わざと
『股間若衆』のユニークな視点
奇書というより珍書。 『股間若衆』 ・新股間若衆 ・股間漏洩集 ・股間巡礼 いうまでもなく『古今和歌集』『和漢朗詠集』のもじり。 著者の木下直之さんは、美術、建築を見世物や祭という 独自のユニークな視点から日本文化を 研
『遺体』。あなたを棄てはしない。
3.11に2万人に死が訪れた。 阪神大震災で6千人の生が奪われた。 理不尽に出現した死の世界で 人々がどのようにふるまったか。 あなたを棄てはしない。 たとえ身元が判明されずに骨と化し、 無縁の灰となっても、隣人は見捨て
岡井隆『わが告白』の新しさ
岡井隆の新著『わが告白』。 岡井が従来の私小説や単純な日記文学を 書くはずがありません。 知の操作で巧みに組み立てられた フィクションでもありません。 <告白>というテーマのもとに、 過去を回想する現在の自分を語っていく
~「金閣寺」への船出~
三島由紀夫が自決したのは、昭和45年。 すでに42年。 その文体は2012年の時代を表現することはできません。 それは当然で、そのことで三島が現代での存在価値を 失ったことにはなりません。 泉鏡花、折口信夫の流れで三島を
現代アート小説『道化師の蝶』
デュシャンが小便器を<泉>のタイトルで アンデパンダン展に出品したのが30歳。 興味の対象は言葉にもあって、 32歳のときには、言語実験で 意味と記号に関する研究をしたり、 駄洒落の本もだしています。 1920年のことで